どこまでも戯れに

「いやー、運が悪いね」
 星屑の街の近く、魔物の群れに遭遇したシエテ達はその排除を行なっていた。難なく切り倒されて死んでいく魔物達を前に、顎に手を当てたシエテが続ける。
「俺、思うんだよね。やっぱ量より質だって」
 その独り言のような言葉を、近くにいたウーノが拾う。
「それは、時と場合によると思うよ」
 穏やかな声でそう答えたウーノは、シエテの死角側に現れた魔物達を一瞬で仕留める。
「うーん、そう? ウーノはいつも正しいからなぁ」
 ウーノの方を見もせずに悩ましげな声を出して、シエテはそのまま剣を横に振るった。断末魔を上げて接近していた魔物が消えてくゆく。
「私は随分と信頼を得ているようだ」
 同じくシエテを見ることなく、小さく笑ったウーノの瞳が学習傾向のない魔物達を捉えた。
「もっちろんだよ〜」
 上空から襲いくる魔物を切り落とすついでに、その死体を、地上を攻めてくる魔物達に打ち付けて、シエテが楽しげに目を細める。
「さて、冗談はさておき。ソーン、付近に怪しいものは見えないかい?」
 「えっ、冗談扱いなの?」とべそをかくシエテの声を無視して、魔物の群れを不審に感じていたウーノが空に問い掛けた。
「ちょっと待ってね。……街の近くに、砲台があるわ!」
「それはいけない。シエテ、君はソーンと一緒に街の方を頼んだよ」
 そう言って、振り向くこともなくウーノが砲台があるという方向へ向かう。
 仲間の背を「いってらっしゃ〜い」と見送ってから、シエテはソーンに向けて笑い、「俺たちも行こっか」と声を掛けたのだった。

 

2020/03/11

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